身内が亡くなったら、まず何をする?元葬儀屋が伝える搬送から葬儀までの流れ

終活・葬儀

大切な人が亡くなった直後、多くの方が頭の中が真っ白になります。

悲しむ間もなく、次々と決めごとや手続きが押し寄せてくるからです。

「何から手をつければいいのか分からない」

それが、ほとんどのご遺族の本音だと思います。

私は葬儀の仕事に約20年たずさわり、搬送や納棺、葬儀の打ち合わせ、司会、法事、遺品整理など、たくさんのご家族を見送るお手伝いをしてきました。

この記事では、その経験をもとに、亡くなった直後から葬儀までに、ご遺族が何を、どのような順番で進めることになるのかをお伝えします。

地域や葬儀社、宗派、ご家族の事情によって流れは変わりますが、全体像を知っているだけでも、少し落ち着いて行動できると思います。

まず確認すること|亡くなった場所によって対応が違う

最初に確認したいのは、どこで亡くなったのかということです。

病院や施設で亡くなった場合

病院や施設で亡くなった場合は、医師による死亡確認が行われます。

その後、看護師さんなどによるエンゼルケア、ご遺体の清拭や身支度が行われることがあります。内容や所要時間は、病院や施設によって異なります。

ご家族は、安置する場所を決め、葬儀社などに搬送を依頼します。

病院から葬儀社を紹介されることもありますが、必ずその葬儀社に葬儀までお願いしなければならないとは限りません。

搬送だけを依頼できるか、葬儀を別の会社に頼む場合はどのような費用がかかるかを、電話の段階で確認しておくと安心です。

自宅で亡くなった場合

自宅で亡くなった場合は、状況によって対応が変わります。

かかりつけ医の診療を受けていた方で、医師が訪問して死亡確認できる場合は、まずその医師や訪問看護の担当者へ連絡します。

一方、突然亡くなった場合や、亡くなった経緯が分からない場合は、救急や警察による確認が必要になることがあります。

慌ててご遺体を動かしたり、着替えさせたりせず、まず医療機関や関係窓口の指示を受けてください。

死亡確認が済んだあと、必要に応じて葬儀社が身支度や安置の準備を行います。

最初にすること|搬送と安置を手配する

死亡確認が終わったら、次にご遺体をどこへ安置するかを決めます。

主な安置先は、自宅、葬儀会館、葬儀社の安置施設などです。

自宅に安置したくても、住宅事情やご家族の状況によって難しいことがあります。反対に、自宅でゆっくり過ごしてもらいたいと考えるご家族もいます。

どちらが正解ということではありません。

ご家族の希望や住宅環境、費用などを葬儀社に伝え、現実的な方法を相談してください。

ご遺体の搬送は、多くの場合、葬儀社などの寝台車に依頼します。

家族による搬送が一律に禁止されているとは言い切れませんが、死亡診断書などの確認や、ご遺体の安全な保全が必要になります。実際には、専門の搬送車を依頼する方が安心です。

慌てて依頼する前に|互助会や葬儀保険を確認する

葬儀社へ連絡する前に、可能であれば確認してほしいものがあります。

それが、冠婚葬祭互助会の会員証や、葬儀保険、共済などの契約です。

故人が互助会に積み立てをしていた場合、指定された葬儀社や式場を利用することで、契約上のサービスを受けられることがあります。

一方、別の葬儀社を利用すると、積み立てた金額を葬儀費用としてそのまま使えない場合があります。

ただし、解約や返金、契約の移転などができるケースもあり、条件は互助会によって違います。

「別の葬儀社に頼んだら、積立金がすべて無駄になる」とは限りません。

会員証や契約書が見つかったら、互助会の窓口へ連絡し、次の点を確認してください。

  • どの葬儀社や式場で利用できるのか
  • 搬送費は契約に含まれているのか
  • 追加費用には何があるのか
  • 利用しない場合、解約や返金ができるのか

契約内容が分からないまま、その場で決める必要はありません。

通帳の引き落とし履歴、郵便物、会員証、保険証券などから契約が見つかることもあります。

だからこそ、葬儀やお墓については、元気なうちに家族で一度話しておくことが大切です。

縁起でもないと避けたくなる話ですが、いざというときに慌てないための備えになります。

葬儀社の選び方|値段だけでなく、担当者の姿勢を見る

搬送を依頼した流れで、そのまま同じ葬儀社に葬儀もお願いする方は少なくありません。

ただ、搬送を頼んだからといって、必ずその場で葬儀の契約まで決めなければならないとは限りません。

契約内容や搬送費、安置料などを確認したうえで、ご家族が納得できる葬儀社を選ぶことが大切です。

葬儀の基本的な流れは、葬儀社によって大きく変わらないこともあります。

しかし、担当者の考え方や、ご家族への向き合い方には違いがあります。

私が約20年の現場経験を通して感じてきたのは、金額や祭壇の大きさだけでなく、「この家族が、どのように故人を見送りたいのか」を考えてくれる担当者を選んでほしいということです。

担当者が事務的に金額の話だけを進めるのか。

それとも、故人の人柄やご家族の希望、予算、不安に感じていることまで聞いてくれるのか。

短い時間ではありますが、担当者と話すなかで見えてくるものがあります。

「見送る気持ち」は、どう確認すればいい?

「気持ちで選ぶと言われても、初対面でどう見分ければいいのか」

そう思う方もいると思います。

私が現場で「この担当者はいい」と感じたのは、目の前の契約だけでなく、その先まで考えられる人でした。

葬儀が終わったあとには、法要や納骨、お墓、遺品整理、各種手続きなどが続きます。

そして何より、残されたご家族の暮らしは、葬儀後も続いていきます。

いい担当者は、葬儀当日だけでなく、ご家族のその後までイメージして提案します。

すべてを高いプランにするのではなく、ご家族にとって本当に必要なものと、なくても困らないものを分けて説明してくれます。

たとえば、次のような部分を見てみてください。

  • 故人の人柄や、ご家族の希望を聞いてくれるか
  • 予算の範囲で方法を一緒に考えてくれるか
  • 見積もりの内訳や追加費用を説明してくれるか
  • 分からないことを質問したとき、丁寧に答えてくれるか
  • 葬儀後の法要や納骨、手続きについても見通しを伝えてくれるか
  • その場で契約を急がせないか

反対に、十分な説明がないまま契約を急がせたり、予算を伝えても高いプランばかり勧めたりする場合は、一度立ち止まってもよいと思います。

「この担当者は、葬儀の売上だけでなく、自分たちのその後まで見てくれているか」

その視点を持つと、任せたい相手かどうかが少し見えやすくなります。

葬儀の日程を決める前に|家族の代表者を決める

葬儀の打ち合わせを進める前に、ご家族の代表として誰が中心になるかを決めます。

一般的には、その人が喪主を務めます。

喪主は、葬儀の形式や規模、参列者への連絡、寺院との調整など、さまざまな話し合いの中心になります。

ただし、喪主に法律上の決まった順位があるわけではありません。

配偶者、子ども、兄弟姉妹など、ご家族の事情に合わせて決めます。

以前は長男が務める家庭も多くありましたが、現在は配偶者や長女、次男などが務めることも珍しくありません。

大切なのは、昔からの順番だけで決めるのではなく、故人との関係や、実際に打ち合わせができるか、ご家族の意向をまとめられるかを考えることです。

喪主が一人ですべてを抱える必要もありません。

葬儀社との打ち合わせをする人、親族へ連絡する人、会計を確認する人など、家族で役割を分けると負担を減らせます。

菩提寺がある場合は、早めに連絡する

お付き合いのある菩提寺がある場合は、葬儀の日程を決める前に連絡します。

先に葬儀の日程を決めてしまうと、住職の都合が合わないことがあるためです。

電話では、亡くなった方の名前、亡くなった日時、喪主の名前、現在の安置場所などを伝えます。

その後の進め方は、お寺から案内してもらえます。

私の地元では、電話連絡をしたあと、家族がお寺へ出向き、ご本尊に亡くなったことを報告する風習があります。

その際、数珠やろうそく、お米、一定のお金などを持参することがあります。

ただし、これは地域や寺院によって大きく異なります。

ろうそくの本数や持参するもの、お布施の考え方などは、菩提寺または葬儀社へ確認してください。

菩提寺がない場合や、宗教者を呼ぶ予定がない場合は、その旨を葬儀社へ伝えます。

葬儀の日程は、どう決まる?

葬儀の日程は、ご家族の希望だけでは決められません。

主に次の予定を調整して決めます。

  • 火葬場の空き状況
  • 葬儀会場の空き状況
  • 寺院や宗教者の都合
  • ご家族や親族の都合
  • 必要な準備にかかる時間

地域によっては、火葬場の予約を先に押さえ、その時間から逆算して通夜や葬儀の日程を決めることもあります。

どの予定を優先するかは地域や葬儀社によって違うため、担当者と相談しながら進めてください。

友引の日は葬儀ができないの?

友引の日に葬儀を避ける地域があります。

「友を引く」という言葉から、葬儀をすると故人が友人を連れていくという言い伝えを気にする方がいるためです。

また、友引を休業日にしている火葬場もあります。

ただし、すべての火葬場が友引に休むわけではありません。地域によっては通常どおり火葬を行っています。

家族葬だから友引でもできる、一般葬だからできない、という単純な決まりでもありません。

友引に葬儀や火葬ができるかどうかは、利用する火葬場や地域の慣習、ご家族の考え方によって変わります。

日程を決める際に、葬儀社へ確認してください。

まとめ|一度に全部決めなくても大丈夫

大切な人が亡くなったときは、亡くなった場所や状況に応じて医師などの確認を受け、その後、搬送と安置を手配します。

可能であれば、互助会や葬儀保険、共済などの契約も確認します。

葬儀社を選ぶときは、金額やプランだけでなく、故人やご家族の話を聞き、その後の暮らしまで考えてくれる担当者かどうかを見てください。

そして、ご家族の代表者を決め、菩提寺や火葬場、葬儀会場などの予定を調整しながら日程を決めていきます。

一度にすべてを完璧にこなそうとしなくて大丈夫です。

分からないことは、その都度、葬儀社や寺院、役所などに確認しながら、一つずつ進めてください。

葬儀の方法や費用、宗教上の作法は、地域や葬儀社、寺院によって違います。

この記事は一般的な流れと、私自身の現場経験をお伝えしたものです。実際の判断については、それぞれの関係先へ確認してください。

そして、これは葬儀の仕事を通して強く感じてきたことですが、葬儀やお墓については、できれば元気なうちに家族で話しておいてほしいと思います。

互助会に入っているのか。

どのような見送り方を希望しているのか。

菩提寺やお墓はあるのか。

大切な書類はどこに置いてあるのか。

それだけでも分かっていれば、残されたご家族の負担は変わります。

いざというときに慌てず、できるだけ悔いのない見送りをするために、元気なうちの話し合いが、いちばん身近な備えになると思います。

葬儀が終わったあとには、年金、健康保険、銀行口座、相続などの手続きも待っています。

これらについても、別の記事で一つずつまとめていきます。

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